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資本主義と危機:マルクス・ガブリエル他

資本主義と危機

なぜ資本主義は暴走するのか。マルクス・ガブリエル、ウォーラーステインら世界の知識人が、欲望、市場、ジェンダー、構造的危機、エコロジーなどの論点から危機の原因と克服の可能性を語る。
『思想』で好評のインタビュー・シリーズに、ガブリエル、J.B.フォスター(2020年ドイッチャー記念賞受賞)を加え書籍化。聞き手=大河内泰樹、斎藤幸平、G.カーティ。(本紹介文より)

ということで、本ブログでもちょっと前に取り上げた『人新世の「資本論」』の著者である斎藤幸平氏らが、世界の知識人へインタビューしていく、といった形式で、現在ある資本主義とそれに起因する危機をまとめ上げられた書籍です。

まず、一人目のマルクス・ガブリエル氏ですが、今月初めに武田鉄矢さんのやっているラジオ番組「今朝の三枚おろし」で紹介されていたドイツの政治哲学者でして、番組で紹介していた本の内容がとても興味深かったんです。

少し紹介しますと、「アメリカと中国は、自国優先主義という意味では似た者どおしで、プライドが高く頼られることが大好きな人種であり、日本はその両国に便利な国として扱われている」と。。
で、両国とも日本にあるソフトパワーが欲しいんだとも。。
そんな中、EUにいるマルクス氏は、文化や芸術などのソフト面で既に深く繋がっている日本とヨーロッパがより手を結ばないか、と提案しています―
これは、案外いいことかもしれませんね。あの2大大国よりも、”平等”であるとか”エコ”であるとかの価値観では、通ずるところが多いと感じます。

あと、ここからは、話された内容から思い出す限りの印象に残った言葉の羅列ですが紹介します。

 ・「利益最優先である」等の、”である”という正義は、これからは通用しないのではないか?
 ・”答え”が世界を動かすのではない、”問い”が世界を動かすのではないか?
  ―ややこしさが大事になる―
 ・ストレートな主張というものは信じられない。
 ・経済によって否定されたもの、豊かさによって追いやられたものが、
  コロナによって変えられた今後の世界の目標になっていく。
  つまり。経済的価値体系を、倫理的価値体系と一致させることが重要なんだと―
 ・人が生きていることを実感するのは”美しさ”を感じたときだ。
  それが新世紀で求められる倫理だ!
 ・繋がらないことの重要さもこれからのポイントになるのではないか?

うまくまとめられなかったんですが、印象的で刺さる言葉が多かったと感じました。

そんなマルクス氏の、今回紹介している本でのインタビュー内容ですが、
「資本主義とは、錯覚を生み出す、誰かにそれをずっと欲しがっていたかのような印象を与えることが本質である」といいます。確かに消費者に欲望を持たせることで、ニーズを無理やりにでも創り出し、それに応えるかのように商品を供給し成長・発展してきたという側面はありますよね。
このことを前大統領トランプ氏に当てはめると、彼にとっての商品は”アメリカ”だったと言います。「America first!」と宣伝して、”アメリカ”を売って大金を儲けていたというわけです。
さらに、資本主義の誤りを正すことが出来るのは、新しい概念を提供できる自分のような哲学者だとも断言します。例えば、難民問題に対してもその問題の本質を正確に理解し説明できる、と言っています。そのためには、誤った説明から利益を得ているのは誰なのかを俯瞰的に見ることが重要だと―

また、「私たちは不寛容に対して多少なりとも寛容でなければならないと言われることがありますが、はっきり言いますが、それはまったくの間違いです。不寛容性に対して寛容でなければならない理由など何もないのです。」とも。。う~ん。。

このことは、以前伊坂幸太郎さんの「死神の浮力」でも取り上げたテーマだったんで敢えて抜粋しました。「寛容は自らを守るために、不寛容に対して不寛容になるべきか?」に対する答えですが、伊坂さんは逆のことをおっしゃっていました。
当時の記事にご興味のある方はコチラ↓

また、民主主義に対してはこう言っています。
「民主主義の危機は、たいていの場合、誰かに投票するときに自分たちが何をしているのかが分かっていないことに起因しています。人々は選挙マニュフェストを読まないのです。なぜなら誰もそれを読むことを義務付けられてはいないからです。このことが問題だ!」と。。

マルクス氏の話は、多岐にわたっておりなかなか面白かったです。

で、次に登場するのがアクセル・ホネットというゲーテ大学の社会哲学教授ですが、こちらはいわゆる哲学者の語り口調でして、もう言ってる意味がサッパリ分かりませんでした(><)
例えば、「規範的再構成という方法の構想をより詳細に明らかにする必要があるなら、それが、ヘーゲルが客観的精神の領域において「概念の論理学」として理解していたものをポスト形而上学的に再解釈することを目指すものであるということをはっきりと述べたいと思います云々―」
なんのことやらチンプンカンプンです(^^!)
その後の賢人たちのお話も難しそうで読む気になれず、表題のみ眺めて読了しました。

ということで、途中で挫折はしてしまいましたが、このマルクス氏の内容は大変興味深く今後も彼のことはチェックしていこうと思います。

では、9/21にグラスゴーで開催されたBring Me The Horizonのライブ映像で”Kingslayer
観客の皆さんが、ベビメタのお二人のパートを大声で歌ってくれてます♪
嬉しいですね~! けど、本当はコロナが無ければお二人がこの舞台に立っていたかもしれないと思うと残念でなりません(><)


tag : 資本主義と危機マルクス・ガブリエルKingslayerBringMeTheHorizonベビメタ

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SIN=KAIさんこんばんは!

本ブログには書き込みがちゃんとできるようですね。

今からもう一度トライしてみますね!

そうですねー
全国民に強制的にやって効果を発揮することも中にはありますが、
これが悪いことに使われだすから問題なんですよねー(><)

No title

こんばんは。

ちゃんと読めたので、大丈夫ですよ。

無理に引き締めを始めて、トップダウンで全てが決められてしまうのは危険性が伴いそうです。

コロナに対しては、その強権力で抑え込みに成功をしていますが、経済はより複雑ですから。

No title

「資本主義は共産主義の役に立つ」と言った、故鄧小平氏の言葉が思い出されます。
この言葉をうまく実践して、いまや中国との関係なしでは世界経済が回らなくなっていますね。
そのことが分かっているから、近年覇権主義を全面に打ち出し強硬な姿勢を見せ始めてきています。

中国の魅力って何だろうと考えた時、やっぱり圧倒的な人口ですかね。
一旦この国で売れると、けた違いの売上が期待できますもんね。
中国製品の安かろう悪かろうは、どの国も気づいてきて段々と相手にしなくなるとは思いますが。。

うちの会社も生産国としての魅力はもう中国にはありませんが、やはり市場としての魅力はありますからねぇ。。
関わりたくないけど、そうもいかないというジレンマに立ってます(^^!)


業界大手の中国恒大集団への引き締めはいいんですが、うまくやって欲しいです。
なんでも強行に進めると、経済ってお互いの影響力が大きいですので全世界に迷惑がかります。
資本主義経済のルールをきちっと守ることが求められますね。

そんな中、今度はTPPにまで加入しようとしているなんて。。
メリットもありそうではありますが、あとから何を言い出すか分からないような国とは
個人的には関わらないほうがいいと思っています。
大嫌いな麻生さんですが、ここは頑張って欲しいところです。

※現在SIN=KAIさんの記事へのコメが書けない状態です。このコメもアップできるか心配です(><)

No title

こんにちは。

資本主義と共産主義の対比では、中国が自由主義経済を取り入れてから急速な発展をした
事からも、資本主義の優位性は明らかですが過熱してバブルを生み出す危険性は残ります。

中国は急速な成長を目指いしていて、国が関与して不動産バブルを起こしつつ有るのは
確実ですが、急に引き締めを始めた為に大手の不動産企業が倒産の危険性が出ました。

中国はその危機に、どこまで介入をするのかが読めずに、周辺国の心配は絶えません^^;



アメリカや日本の資本主義は、その欠点を補う為に計画的な統制経済が主流に成って居ますが
アメリカのFRBや日本銀行がコロナ不況に対処して、低金利の継続や市場に対し資金を流す
事で経済を支えているのが現状ですね。

ここで金融を長く緩め過ぎると、バブルが起きてしまうので日銀やFRBの金利政策が重要に成りそうです。


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shoji lemieux

Author:shoji lemieux
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音楽では、遊佐未森さんなどの癒し系にワールド系、あとBABYMETALにハマってます♪
作家さんでは、伊坂幸太郎さん、原田マハさん、ダン・ブラウンさん辺りがお気に入りです!

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